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精神疾患で約6ヶ月間休職した管理職社員が、職場復帰したものの短時間勤務などで管理職としての職務・職責を果たせない状況にあります。その社員を降職・降格させることは問題ないでしょうか?
このような場合は、まず精神疾患が業務上によるものか業務外によるものかの判断が必要です。その発症原因が、長時間労働やハラスメントなど業務に起因し、労災保険の認定申請をすれば業務上災害となりえるような場合には、会社としての安全配慮義務を問われることになり、降職・降格という不利益な処遇は不当な処分と判断される可能性が高くなります。
「降格」とは、一定の職位についている社員の役職を解いたり(降職)、職能資格制度がある場合にはその職能資格等級を現在の等級より下位のものに引き下げたり(降格)することをいいます。降職・降格には降給が伴い、降職・降格によって役職手当が減額されるなどで賃金が下がるのが一般的です。
降格には、懲戒処分としての降格と人事考課等会社の人事権に基づく降格があります。懲戒処分としての降格は、社員が就業規則に違反する行為をした場合などに制裁として行われるものです。したがって、就業規則の制裁規定に処分としての「降格」を定めたうえで、その違反行為の性質・態様などを踏まえて処分が「客観的に合理的な理由であり、社会通念上相当であると認められる」ものかどうかを慎重に検討しなければ、懲戒権の濫用として無効となる可能性があります。
他方、会社の人事権の行使で行われる降格については、役職者であれば職務・職責や担当業務に必要な能力、適格性を欠くと判断して降職・降格するなど、人事権の範囲で行われるものでなければいけません。労働契約法においては「労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」(第3条第5項)と定められており、人事権の濫用とならないように判断する必要があります。
ご相談の内容は、精神疾患で休職していた管理職社員の職場復帰に伴う降職・降格に関するものです。このような場合は、まず精神疾患が業務上によるものか業務外によるものかの判断が必要です。その発症原因が、長時間労働やハラスメントなど業務に起因し、労災保険の認定申請をすれば業務上災害となりえるような場合には、会社としての安全配慮義務を問われることになり、降職・降格という不利益な処遇は不当な処分と判断される可能性が高くなります。したがって、復職後の職務遂行や短時間勤務での状況などから、管理職として必要な意思決定や部下管理などの職務遂行が客観的に困難であると判断できるか、短時間勤務では業務に著しい支障が生じて代替のきかないものであるかなども検討しなければなりません。医師の診断書や産業医の意見の評価なども参考にして、降職・降格に合理性があるかを総合的かつ慎重に判断する必要があります。
私傷病による精神疾患も同じように、管理職としての職務に必要な能力が低下し適性が著しく欠ける状態が、一時的ではなく長期的に見込まれるなど、管理職としての職務継続が難しいかどうかを見極めなければなりません。そのためには、一定期間、復職者の業務内容や業務量を調整し、ストレス要因をできるだけ排除するなどの環境整備を図りつつ、それでも管理職としての職務・職責を果たせないという状況を確認するなどの慎重な判断が必要でしょう。
また、降職・降格に降給が伴う場合、仮に降職・降格そのものに有効性があったとしても、賃金減額が有効になるとは限りません。たとえば、降職に伴って役職手当がつかなくなることがあっても直ちにそれが無効となるものではありません。しかし、職能資格制度の下の降格(職能資格等級の引き上げ)による基本給の減額は、就業規則や人事考課規定等に降格と連動して降給する定めがあり、能力低下の合理的な根拠があるうえで、その減額幅が不合理でないと判断されれば有効となる可能性があります。したがって、個別同意を得るなど本人が納得できるような対応が求められています。また、本人のモチベーションの低下により精神疾患に影響を与える可能性があるため、意図的な嫌がらせを取られないよう十分な配慮が必要です。