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人事労務の法律教室-85
~従業員過半数代表者の選出手続きの要件と非正社員の扱い~

この度、工場における時間外労働及び休日労働に関する労使協定を正社員の中から選出された従業員過半数代表者と結びました。しかし、契約社員やパートから自分たちは代表者選出に加わっていないので労使協定は無効と主張されました。

法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えて労働させたり、週1回の法定休日に労働させることがある場合には、時間外労働及び休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。この労使協定を締結するにあたり、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、その事業場の労働者の過半数代表者の選出を要するのは、36協定の締結に限りません。労働基準法上、過半数代表者との締結を必要とする労使協定には、1年単位の変形労働時間制を導入する場合、年次有給休暇を時間単位で与える場合などがあります。また、育児・介護休業法に基づき、入社1年未満の者などを育児休業または介護休業の適用から除外する場合には過半数代表者との労使協定が必要となります。

過半数代表者には、一定の資格要件が求められ、労働基準法第41条第2号に規定される管理監督者(一般には、部長、工場長など、労働者の労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者)は当該監督者といえども労働者としての側面もありますので、過半数代表者となることはできませんが、過半数代表者を選出することができる労働者の範囲に入ります。また、過半数代表者は、その事業場の従業員のうち正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの事業場のすべての労働者の過半数を代表している者でなければなりません。したがって、契約社員、パートタイマー、アルバイト、出向者も過半数代表者を選出することができる労働者の範囲に入ります。

したがって、パート等非常勤労働者も含めた過半数代表者との労使協定でなければ無効となります。

過半数代表者の選出にあっては、労使協定などを締結する者の選出であることを明らかにして実施される投票、挙手等、労働者の過半数が当会社の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きによらなければなりません。過半数代表者を会社が指名したり、あるいは会社指名した候補者に対する投票であったり、親睦会の代表者など一定の地位にある者が自動的に就任したりすることは、民主的とはいえません。

具体的な選出方法としては、まず過半数代表者の選出目的をその事業場で働く全労働者に伝え、期間を定めて候補者を募ることから始めます。候補者が決定したら、当該候補者名と選出方法(選出目的や信任・不信任を投票することなどの方法、日時を含めて)を全労働者に知らせて、選任された者を会社に知らせてもらうことになります。また、選任された過半数代表者を全労働者に周知する必要もあります。

なお、過半数代表者の人気については、労働基準法上特段の定めはありません。したがって、任期を設定して選任することもできますし、過半数代表者が管理監督者となった場合や退職した場合に新たに選任することになります。

なお、使用者は、労働者の過半数代表者であること、もしくは過半数代表になろうとしたことを理由として不利益な取り扱いをしないようにしなければなりません。

○今月のポイント!
  • 契約社員、パートタイマー、アルバイト、出向者も過半数代表者を選出することができる労働者の範囲に入る。過半数代表者の選出は、民主的な手続きによらなければならない。
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