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勤続5年3ヶ月を経過した従業員が、年度の途中で親族介護のために正社員から1日5時間、週4日勤務のパート勤務に変更となりました。この場合、パート勤務変更月から6ヶ月経過した日に7日の年次有給休暇を付与することで問題ないでしょうか?
年次有給休暇の付与日数は、勤続年数に応じて、正社員とパート労働者(以下、パート)で次のように異なります。
勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月 |
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付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
週所定労働日数 | または | 年間所定労働日数 | 勤続年数 | ||||||
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6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月 |
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4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
パートでも、1日の労働時間が30時間以上または週5日以上勤務する者は、正社員と同様の、表1に基づき勤続年数に応じた日数を付与しなければなりません。
年次有給休暇を何日付与するかは、新たに付与する日(付与基準日)における雇用形態によります。なお、年度の途中で雇用形態が変更になっても、勤務は継続していますので、何日付与するかは過去の勤続年数に比例します。雇用形態が変更したときに改めて勤続年数を計算しなおすことはしません。勤続年数は、雇入時の雇用形態にかかわらず雇用された日から通算することになります。したがって、正社員で雇用され、のちにパートに変更になって場合でも、雇用形態の変更日から改めて勤続年数を計算して6ヶ月経過した日に年次有給休暇を付与するものではありません。付与年度の途中に雇用形態の変更があった場合でも、次の付与基準日までは付与日数は変更されることはなく、現在の保有日数を継続することになります。この点に関して、「年次有給休暇の権利は、付与基準日に発生するものであり、付与基準日において予定されている所定労働日数に応じた日数の年休を付与すべきものであり、年度の途中で所定労働日数が変更されても、それに応じて年休の日数が増減されるものではない」と解されています(労基法コンメンタール)。
今回のご相談の場合、現在、正社員としての勤続年数が5年3ヶ月であれば、表1に基づき勤続年数は4年6ヶ月の欄、付与日数16日を保有していることになります。この付与日数は、雇入日以後5年6ヶ月経過した日の新たな付与基準日まで継続し、新たな付与基準日に変更後の雇用形態(パート)により表2に基づき週4日の勤務の欄の日数13日を付与することになります。
なお、年次有給休暇の取得日の賃金が通常賃金で支払われるときは、正社員のときに付与された日数分を取得する場合でもパートになってからの取得であれば、取得日においては既にパートでの勤務ですので、パートとしての所定労働時間に時間給をかけたものが支払われることになります。たとえば、正社員時の1日の所定労働時間が8時間でパートに切り替わり1日4時間になったとしても、正社員の年次有給休暇であるから2日分(8時間÷4H)として使えるわけではありません。取得日数は労働日単位ですので、パートとしてその日の所定労働時間に応じた通常の賃金が支払われることになります。なお、このように雇用形態の変更に伴う年次有給休暇の取り扱いは、パートから正社員に変更した場合も同様です。