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人事労務の法律教室-71
~派遣先事業主による派遣契約解除の際の留意点~

新型コロナウィルス感染症の拡大が派遣労働者を含む非正規労働者に深刻な打撃を与えています。なかでも、派遣労働者については、派遣元事業主を派遣事業主の労働者派遣契約期間の途中にもかかわらず、派遣先事業主から派遣契約の解除を求められる事例が増えています。それに伴い派遣労働者が突然解雇されたり、雇い止めにされるケースも増えています。

派遣労働者の雇用関係は、派遣元事業主との間で成立しています。したがって、派遣元事業主と派遣先事業主の労働者派遣契約が解除されても、それに伴い派遣元事業主と派遣労働者の雇用関係も終了することが認められているものではなく、派遣労働者と派遣元事業主との雇用関係は雇用契約期間に基づき存続します。

派遣先事業主は派遣労働者との直接の雇用関係がないからといって、経営上の都合によって安易に労働者派遣契約を解除することはできません。厚生労働省の指針によれば、派遣先事業主が労働者派遣契約を契約期間の途中に解除する場合は、次のような措置を講じなければならないことになっています。

  • ● 労働者派遣契約の解除について、派遣元事業主との合意を得るとともに、あらかじめ相当の猶予をもって労働者派遣契約解除の申し入れをすること
  • ● 派遣元事業主の関連会社での就業をあっせんするなど、派遣労働者の新たなん就業機会を確保すること
  • ● 派遣労働者の新たな就業機会の確保ができない場合、遅くとも30日前に予告するか、予告しない場合は派遣元事業主に派遣労働者の賃金相当分の損害賠償を行うこと

損害賠償の例としては

  • ① 当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額
  • ② 当該派遣元事業主がやむを得ない事由により当該派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申し入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは、30日分以上の賃金に相当する額
  • ③ 解雇予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは、当該解雇の日の30日前の日から当該予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額などがあります。

また、厚生労働省の「新型コロナウィルス感染症に関するQ&A(企業の方向け)」において、労働者派遣契約の履行に関し緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受け、事業を休止した場合ですら、現行の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、労働者派遣契約の履行を一時的に停止する場合や、労働時間や日数など労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合には、それに伴う派遣料金等の取り扱いについては、民事上の契約関係の話であるため、労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先による話し合いでの対応を求めています。

さらに、労働者派遣契約を途中解除せざるを得ない場合であっても、派遣先は、前述の措置を講ずる義務がなくなるわけではなく、当該派遣労働者に新たな就業の機会の確保や休業手当の支払いに要する費用の負担等の措置を講じなければならないと通知しています。

○今月のポイント!
  • 派遣先事業主が労働者派遣契約を解除するには、一定の要件を満たす必要がある。
  • 損害賠償や、新たな就業の機会の確保、
    休業手当の支払いの要する費用の負担を伴うこともある。
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