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人事労務の法律教室-70
~2回目以降の育児休業の取得について~

育児休業を取得していた女性従業員が、子どもが生後6ヶ月で職場に復帰しました。ところが、子どもが病気がちで、会社を休む日が頻繁にあり、継続しての出勤が難しい状況にあります。保育所に入所できないことで、再度の育児休業は取得できますか?

ご相談のように生まれたお子さんが病気がちで、従業員本人も思うように出勤ができず、また会社も所定労働日にきちんと出勤してもらわなければ業務に支障が生じて困る、ということがよくあります。お子さんは、満1歳到達前ですので会社が認めれば、再度の育児休業を取得することはできます。

育児休業は、原則として、満1歳に満たない子を養育する労働者(一定の適用除外者を除く)が、事業主に申し出ることで休業できる制度です。育児休業は、同一の子について1回が限度ですが、次のいずれかの事由に該当するときは再取得することができます。

  • ①1回目の育児休業の終了が他の子の産前産後休業・育児休業を取得したためであって、
    当該他の子が死亡した場合や養子となったことなどにより同居しなくなった場合
  • ②1回目の育児休業の終了が介護休業を取得したためであって、介護対象家族の死亡、
    離婚、婚姻の取り消し、離縁等により対象家族の介護を行わなくなった場合
  • ③配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ)が死亡した場合
  • ④配偶者が負傷、疾病等により子を養育することが困難となった場合
  • ⑤婚姻の解消等により配偶者が育児休業に係る子と同居しなくなった場合
  • ⑥育児休業の申出に係る子が負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、
    2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態となった場合
  • ⑦育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、
    申込を行っているが、当面の実施が行われない場合
  • ⑧産休特例期間内(配偶者の出産後8週間以内の期間に、
    父親が育児休業を取得した場合)育児休業を実施した場合。

また、育児休業の中断と再会に関して「育児休業をしている労働者に関し、一時的に子の養育をする必要がなくなる場合が生じ得るが、その場合を当然終了事由とすることは、労働者にとって酷となるだけでなく、事業主にとっても要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。しかし、話合いにより、当該育児休業期間中の労働者が、当該子の養育をする必要がない期間についてその事業主の下で就労することは妨げないものであること。その場合、当該労使で育児休業を終了させる特段の合意のない限り、育児休業が終了するものではなく、子が1歳(1歳以降の育児休業をしている場合にあっては、1歳6ヶ月)に満たない期間中は、中断していた育児休業を再開することができるものであること」との通達があります。

したがって、育児休業の一時的な中断とし、その後子どもが1歳になるまでの残りの期間、再度育児休業を再開することはできます。

ところで、再取得した場合に育児休業給付金も再受給できるか気になるところです。育児休業給付については、原則として、同一の子に係る2回目以降の育児休業は支給の対象となりませんが、1歳(一定の場合、1歳2ヶ月)に達する日の前日までに、前述の①~⑧の事由に該当することにより取得した同一の子に係る再度の育児休業も支給対象となります。

○今月のポイント!
  • 育児休業は原則として1回だが、事由によっては再取得または一時中断後の再開ができる
  • 育児休業給付金も、条件が整えば2回目を受け取れる
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