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当社では、働き方改革の一環として勤務間インターバル制度の導入を検討しています。インターバル時間については法的な制限がありますか?また、一部の社員のみに限定して導入することでもよいのでしょうか?
勤務間インターバル制度とは、働き方改革関連法の一つである「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の一部により企業の努力義務として定められたものです(第2条第1項)。前日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間の休息時間(インターバル)を確保することで、労働者の生活時間や睡眠時間などを確保しようとするものです。EU諸国ではすでに義務化されており、最低11時間の休息時間を与えなければならないことになっています。我が国においても、拘束時間が長い傾向があるトラック運転者等に対しては、8時間以上の休息時間を設けなければならない改善基準告示があり、労働基準監督署の指導要綱となっています。
勤務間インターバル制度の導入にあたっては、まずインターバル時間を何時間とするかを検討しなければなりません。法的には何時間とするかの特別な規定は設けられておらず、労使間で決めることになります。なお、この制度を導入するにあたっては「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」を利用することができますが、助成金の受給要件としてのインターバルは、最低9時間となっています。それを目安に検討するのも良いでしょう。
また、特定の社員層に限定して導入することもできます。管理職のみ、またIT部門のみといった、長時間労働になりがちな職種に限定して導入することもできます。
導入に伴い注意すべき点として、労働時間の取扱いがあります。
たとえば、始業8時00分、就業17時00分、休憩60分で所定労働時間が8時間の場合、11時間のインターバルを設定したケースでみてみましょう。下図のように、前日、残業で23時までと遅くなり翌日の始業開始が会社の定める始業時刻より2時間遅れて10時00分となった場合、①終業時刻も2時間繰り下げて19時00分として所定労働時間を勤務するものとするのか、②会社の始業時刻から食い込んだ時間(2時間分)は勤務したとみなして業務終了時刻は会社の終業時刻(17時00分)のままとし、終業時刻で業務を終了しても2時間分の賃金控除はしないようにするかなど、制度設計においてはこうした点を検討することになります。なお、同時に労働時間の状況の把握などの運用面にも注意しなければなりません。
インターバル時間を何時間取るかを労使間で決める。
勤務間インターバル制度導入の範囲を決める。
労働時間のカウント法をどうするかを検討。