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昨年4月に厚労省がまとめた労使双方のメリットと留意点を考えます。 働き方改革の一環として、副業や兼業を一定条件を満たせば認める企業が増えてきました。労使双方にとってメリット、制度導入に際しての留意点はどこにあるのか。厚労省が昨年発表したガイドラインをもとに考えます。
2019年6月にみずほフィナンシャルグループは副業・事業を認める人事制度を今年度中に導入する方針であることを明らかにしました。例えば勤務は週3日とし、副業・兼業を認めるという内容です。このことからも、副業・兼業への各企業の関心が高まってきていることがわかります。副業・兼業の促進について、厚生労働省が発表したガイドラインを紹介します。
副業・兼業を希望する人は年々増加傾向にあります。理由は自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、企画の活用、十分な収入の確保など様々です。多くの企業では、副業・兼業を認めてはいませんが、企業が副業・兼業を認めるにあたっての課題と懸念は、自社での業務がおろそかになること、情報漏えいのリスクがあること、競業・利益相反になることが挙げられています。また、副業・兼業にかかる終業時間や健康管理の取り扱いをどうすべきかが分かりにくいとの意見もあります。
離職しなくても別の仕事ができ、スキルや経験を得ることでキャリアを形成することができること。本業 の所得を生かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができること。本業を続けつつ、よりリスクの小さな形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができることなどが挙げられています。
労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができること。労働者の自律性、自主性の確立が期待できること。優秀な人材の獲得、流出の防止ができ、競争力が向上すること。労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながること、などがあります。
双方の業務に必要な労働時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務をどう確保するかという懸念への対応が必要です。
企業は、労働者と十分にコミュニケーションを取ることが必要です。労働提供上の支障や企業秘密の漏洩などがないか、また長時間労働を招くものとなっていないか確認する観点から、副業・兼業の内容を労働者に申請・届け出をさせることも考えられます。労働者の場合は、勤務している企業の副業・兼業に関するルール(労働契約や就業規則)を確認し、双方が納得感を持って進める必要があるでしょう。
労災保険の支給は、災害が発生した就業先の資金分のみに基づき算定します。通勤災害については、事業場間の移動で起こった場合は、移動後の事業場の保険関係で行います。
雇用保険は、労働者が生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となります。
社会保険については、事業所ごとの判断により、被保険者の要件を満たすかを判断します。満たす場合は二以上事業所勤務届の提出が必要になります。