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人事労務の法律教室-41
~残業は最長月100時間未満。違反には罰則!~

6月29日に成立した「働き方改革関連法案」について、主な改正事項を確認していきましょう。
今回は「時間外労働の上限規制」について見ていきます。
○時間外労働の上限規制の見直し

これまでの時間外・休日労働は、法律で手続きが定められているものの、何時間まで働かせることができるかという上限の基準は厚生労働省の告示(法律ではありません)であったため、強制力はありませんでした。また、臨時的に更に延長して働かせることも定めることができたため、実質的に青天井だといわれていました。

そこで、現行の時間外労働の限度基準を告示から法律に格上げし、臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限が設定されました。さらに、罰則による強制力が与えられることになりました。

なお、この改正が実施されるのは、来年(平成31年)4月1日ですが、中小企業(下図参照)は1年猶予され平成32年4月1日からです。労使協定について実施日前の期間が含まれる場合は住専の法律が適用されます。また「新技術等の研究開発業務」など一定の適用除外が設けられています。

表1:中小企業の定義

資本金または出資金 常時使用労働者数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 100人以下
卸売業 1億円以上
その他 3億円以下 300人以下
○時間外・休日労働の手続き

法定労働時間(1日8時間、週40時間)・法定休日(毎週1日)を超えて労働者を働かせるためには、使用者は、労働者と書面による協定(通称「サブロク協定」)を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。この基本的な手続きに変わりはありません。

ただし、労使協定の対象期間は1年に限るものとされ、時間外労働の限度時間については、「1日」「1ヶ月」「1年」(これまでは、「1日」「1日を超え3ヶ月以内」「1年」)について定めることになりました。

なお、協定で定める限度時間については、不必要な長時間を定めないように事業場の業務量などを考慮して決めるよう明記されました。

○協定の限度時間

協定で定める限度時間は、原則的な上限と、臨時的案場合の上限の二段階で規制されます。

まず、原則的な毎月の限度時間は、「1ヶ月45時間」「1年360時間」(対象期間が3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制を適用する場合は、「1ヶ月42時間」「1年320時間」)です。この時間数は変わっていません。

次に、臨時的に特別な事情がある場合、通常月の限度時間を超えてさらに延長する時間数を協定することができます(いわゆる「特別条項」)。これまでは、ここに上限時間がありませんでした。改正により定められた限度は、休日労働の時間とあわせて1ヶ月あたり100時間未満、1年について720時間(休日労働含まず)を超えない範囲です。この「臨時的な限度」を適用する回数もこれまでどおり1年について6ヶ月以内です(図1参照)

表2:協定の限度額

1ヶ月 1年
臨時特別な場合 100時間未満 720時間以内
原則 45時間以内
(42時間以内)
360時間以内
(320時間以内)

※休日労働時間を含む( )内は一定の1年変形

○実労働としての限度

もう1つ、新たに設けられた基準があります。協定で定められた時間内であっても、実際の労働時間が次の時間を超えてはならないものとされました。①②は休日労働時間を含みます。

図1:実労働の限度時間

  • ①1カ月100時間未満
  • ②直近2カ月~6ヶ月平均80時間以内

※この他、坑内労働その他厚生労働省で定める有害な業務は1日2時間以内

②は2ヶ月~6ヶ月、いずれを平均しても80時間以内でなければならないというもので、実務的には非常に管理が難しくなります。忙しい時期でも80時間までと考え、それでもどうにもならない場合のみ100時間までと捉えておくべきでしょう。

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