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スッキリわかる雇用保険-5
~有期契約の更新上限を設けて雇い止め。雇用保険の取り扱いはどうなる?~

無期転換ルールへの対策として、有期契約の更新条件を4年に設定することになりました。4年に到達して雇用を終了する場合、雇用保険の取り扱いは、助成金がもらいにくくなる「事業主都合」の離職とはなりませんよね?

法律の施行から5年経つ今年4月より「無期転換ルール」※1の影響が本格的に出始めるため、平成30年2月5日以降の有期契約労働者の更新上限到来による離職について、雇用保険の取り扱いの一部が変わり、労働者の保護が手厚くなっています。なお、これら変更された取り扱いにおける喪失原因は原則として「事業主都合」にはなりません。
※1有期労働者契約を繰り返し更新し、契約が通算5年を超えることとなった際、労働者が申し出ることで無期雇用に転換できるもの。

○無期転換ルールの影響

改正法の施行により、有期労働契約者の無期転換を防止する必要があると考える企業の中には、5年以下の契約更新上限を設けるなどして、そもそも該当者がでないよう対策をとっているケースも多く見受けられます

法改正は、かえって有期契約労働者の離職時期を早めるのではないかという見方もありました。そのため、企業の無期転換防止により離職したと考えられるような図の3つのケースでは、雇用保険の失業給付(「基本手当」といいます)について、平成30年2月5日以降(平成34年3月31日まで)、「特定受給資格者」※2または「特定理由離職者」※3として、基本手当の所定給付日数(手当を受給できる日数の上限)が一般の受給資格者より手厚くなります。

※2倒産、解雇などにより再就職の準備なく離職した者

※3有期契約が更新されずに離職した者(本人が更新を希望していない場合を除く)

○期間満了ルールの基本

まず、有期契約労働者の期間満了について、次の2つのルールを確認しましょう。

1つ目は、「あらかじめ定められた更新上限により離職する場合」は、解雇など事業主都合ではないので、原則、離職者は一般の受給資格者になります。

2つ目は、通算雇用期間が3年以上かどうかです。長期にわたり契約更新を繰り返すと、労使とも契約の継続を期待すると考えられるため、雇用保険では、期間満了による場合であっても「特定受給資格者」にする場合があるなど3年を1つの基準にしています。

」の確保を進めるのか、「外注業者」を活用していくのかなど、企業の工夫が求められています。

○3つのケースを新たに追加

今回、無期転換ルールの導入に関連するケースについて、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」となる対象が追加されました。つまり下記のように、労働契約に①「更新上限を追加」したり、②「更新上限を引き下げる」などは、無期転換を防ぐことが目的であると考えられるため、更新上限の到来であっても、「特定受給資格者」(通算期間3年以上の場合)または「特定理由離職者」(通算期間3年未満の場合)とするものです。

また、③「4年6カ月以上5年以下の上限」の到来についても、「特定受給資格者」として取り扱います。ただし、改正法の公布日(平成24年8月10日)前から同じ事業所の有期契約労働者に対して契約更新上限が設定されていた場合は除かれます。また定年後の再雇用についても除かれます。

なお、この変更に伴い離職証明書の書き方も変更されています。ハローワークに提出する際には、採用当初の雇用契約書と最終更新時の雇用契約書など、それぞれの事情がわかる資料を添付する必要があります。

<<取り扱いが変更された3つのパターン>>

①上限追加
採用当初はなかった契約更新上限がその後追加された人、または不更新条項が追加された人
②上限引き下げ
採用当初の契約更新上限が、その後引き下げられた人
③4年6カ月以上5年以下の上限
基準日(平成24年8月10日)以後に締結された4年6カ月以上5年以下の契約更新上限が到来した(定年後の再雇用に関し定められた雇用期限の到来は除く。)ことにより離職した人

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