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スッキリわかる労災保険-4
~労災保険って、どんなもの?~

昨日、工場で作業者が大きなケガをしてしまい、しばらく病院に入院することになりました。病院からは、健康保険証は使わず、労災保険の請求の用紙を提出するよう言われました。このような事故は初めてなので、労災保険のことがよくわかりません。どのような給付があるのか教えてください。

病気やケガを治療する際は、私傷病の場合に適用する「健康保険」と、業務上や通勤途中の災害による傷病に適用する「労災保険」の2つの保険制度があります。原則として、労災保険で治療すべき傷病に健康保険を使うことはできません。
労災保険では、ケガ・病気の治療だけでなく、その後の休業や残った障害に対しても補償を行います。健康保険と内容が似ていますが、保険料は事業主が全額負担し、給付も健康保険より手厚いものとなっています。

○労災保険は治療費だけではない

労災保険では、治療やその後のケガなどの状態に応じ、下図のような給付が設けられています。健康保険のように「保険証」というものはありませんから、その都度、所定の用紙に必要事項を記載して、給付を請求することになります。以下、労災保険の給付の概要を見ていきましょう。

○治療や入院は自己負担ゼロ

労災保険では、治療や薬の処方、入院の処置までひととおりを基本的に無料でうけることができます。これを「療養補償給付」といいます。ただし、労災病院や労災保険指定医療機関へ行く必要があり、近くにこうした病院がないなど、やむを得ず労災を扱っていない病院にかかった場合は、一度全額自己負担して後日費用の請求をすることになります。

○休業中の賃金補償も

労災保険には、治療のために働けない間の賃金を一部補償する「休業補償給付」があります。休業の4日目から休業1日につき、平均賃金の6割が支給されます。また、この給付にあたっては、さらに平均賃金の2割が上乗せされます(「特別支給金」といいます)。
上乗せ分を含めると、実質8割の賃金補償がされることになり、この給付には税金はかかりません。
なお、休業3日間目までについては、労働基準法の定めにより、会社が休業補償として平均賃金(3日分)の6割以上を本人に支払う必要があります。

○障害が残ったときは

治療が終わっても、一定の障害が残った場合、「障害補償給付」として障害の重さに応じて年金か一時金を受給できます。
障害は残ったものの、ひとまず治ったことになるため、療養補償給付は終了します(症状が再発した場合などは再開できます)。休業補償給付も「治療のために」という条件から外れるため支給されません。
また、治療開始から1年半経っても治らず、身体の障害が一定以上ある場合は、休業補償給付が「傷病補償年金」に切り替わります。
※障害補償給付や傷病補償年金にも、一定の特別支給金が同時に支給されます。

○復帰・退職後も給付は続く?

被災者の傷病が治療し、職場復帰すると、療養補償給付、休業補償給付は支給が終了しいます。障害補償給付を年金で受給している場合は、復帰後も引き続き支給されます。
なお、労災保険の給付は、退職を理由に補償を受ける権利が変わることはありません。あくまで、治ったかどうか・障害があるかどうかを基準に、それまでと同じ給付がおこなわれます。
労働者死傷病報告を適正に提出することが重要視されていると言えるでしょう。
例えば、休業補償給付を受けている途中で退職しても、治療のために働けないことに代わりないため、給付は終了しません。

労災給付の概要
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