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人事労務の法律教室-35
~週3日勤務、1年契約のパートタイマー。育児休業は与えなくていい?~

週3日勤務、1年契約のパートタイマーが育児休業を取りたいと言ってきましたが、当社では非正規労働者向けの育児休業制度はありません。次の契約更新はせずに終了とし、育児が落ち着いてまた働きたくなったら優先的に採用するということで問題ないですよね?

会社に制度がなくても、法律の要件を満たす場合は育児休業を与えなければなりません。1年契約など有期契約労働者の育児休業取得要件は、法改正によって大幅に緩和されたため、多くの人が育児休業を取得できるようになっています。法定の要件をよく確認して、違法な取り扱いをおこなわないよう注意しましょう。

○取得要件を大幅緩和

育児休業は、原則1歳未満の子を養育する労働者が申し出た場合に、休業させなければならない制度です。男性、女性、パートタイマーに関係なく、法律の要件を満たせば休業させなければなりません。これは法律で定められた労働者の権利であり、会社に制度があるかどうかは関係ありません。
6ヵ月や1年契約など有期契約の労働者についても、育児のために働けないなら期間満了で雇用を終了というわけにはいきません。「有期契約労働者の育児休業取得要件」を満たす場合は育児休業を与えなければならないのです。しかも、この要件は平成29年1月より法改正によって大幅に緩和されています(図参照)。
申出時点で次の契約更新をどうするか決まっていなくても、図の2つの要件を満たしているのであれば育児休業を認めなければなりません。
今まで有期雇用については、育児休業を取得できる人が少数派でしたが、改正後は取得できない人が少数派になっています。「基本的に取得できる。ただし、勤続1年未満の人や、更新の上限があって1歳半までに雇用が終了することが明らかな人は取得できない」という風に覚えておきましょう。
なお、要件を満たしたかどうかは休業開始時点ではなく「申出時点」で判断します。申出時点で勤続1年以上なくても、その後1年以上になればその時点で育児休業の申出ができるようになります。

○週3日勤務でも?

ご質問のパートタイマーは週3日勤務ということですが、所定労働日数が少なくても、そのことで育児休業の申出を拒否することはできません。
ただし法律では、労使協定を締結して一定の労働者を育児休業の対象から除外することを認めています。たとえば「週の所定労働日数が2日以下の者」は、あらかじめ労使協定で定めていたのであれば育児休業の対象外とすることができます。

○最新法に対応していますか?

就業規則が最新の法律に対応しておらず、「当社の就業規定に照らしてパートタイマーには育休を与えない」という取り扱いをしてしまう例がありますが、これは違法です。また、現場の管理職レベルで「パートタイマーや契約社員は取得できない」と育児休業の申出を拒否してしまうこともあるので、注意が必要です。

有期契約労働者の育児休業取得要件
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