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人事労務の法律教室-33 ~基本給20~25万円で募集。入社時に具体額を決定してもいい?~

当社では、募集時は「基本給20~25万円」と幅をもたせて提示し、採用が決まった人には初出勤の日に具体的な金額を示した契約書にサインしてもらっています。この方法では何か問題がありますか?

職業安定法などが改正され、求人募集の際のルールが変わることになりました。募集時は幅をもたせた金額を提示し、後で具体的な金額を特定する場合は、求職者が納得して就職先を選べるよう「可能な限り速やかに」特定した金額を明示する必要があります。改正法は、一部を除き平成30年1月1日より実施されます。

○明示しなければならない労働条件

求人募集をするには、ハローワークや職業紹介エージェントを利用する、新聞や求人誌に募集広告を出す、自社ホームページに掲載するなどさまざまな方法があります。いずれの場合も、労働条件のうち一定の事項(図参照)を明示するよう法律で義務付けられています。今回の改正では、明示しなければならない事項に「試用期間」などが追加されることになりました。

○明示するタイミングは?

労働条件を明示するタイミングについてもルールがあります。
求人誌などでは紙面の都合から「調理師募集」などの非常に簡易なものもありますし、会社によっては、初回の面接ですぐに採用を決めるところもあります。このような様々な採用方法において、求職者が就職先を納得できるよう選ぶためには、できる限り早い段階で必要な労働条件が明示されるべきです。そこで、今回の法改正に合わせ求人募集に関する指針も大きく見直され、労働条件について「可能な限り速やかに明示」することが明記されました。
そのほか、労働時間について「みなし労働時間」を適用する場合や、賃金に「固定残業代」を含む場合などについても詳しく明示するよう注意事項が追加されています。

○募集時の労働条件を変更するとき

当初、募集広告などに明示された労働条件と採用時の労働条件は、合意の上で修正されることもあります。たとえば、「想定していたより経験年数が足りないが本人が意欲的なので基本給を引き下げて採用」といったものです。ただ、このような労働条件の変更が本人に正確に伝わらないまま労働契約を結ぶと、後でもめることになります。
そこで今回の改正では、求職者が雇用契約を決める前に、募集広告などで示された当初の労働条件と異なることがないか確認できるよう、会社側に新たな明示義務が課せられます。募集当初の労働条件から「変更」「特定」「削除」「追加」するときは、求職者に対し、新たな労働条件を明示しなければならないというものです。
ご質問のように募集の際は幅をもたせて金額を提示し、後から具体的な金額を示す場合は「特定」にあたります。初出勤の日に金額を特定するのでは求職者が検討する時間がありませんから、もっと早い段階で特定して明示するべきでしょう。なお、労働条件の明示は、原則書面でおこなうものとされていますが、本人が希望する場合は電子メールでもかまいません。

○ペナルティを強化

その他、今回の改正では虚偽の求人に関する罰則を強化したり、ハローワークで求人を受理しないケースを拡大するなど、違法行為をおこなう企業へのペナルティが強化されます。※今のところ実施時期は未定です。

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