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人事労務の法律教室-27 ~何をしたらマタハラになる?~

1月より、マタハラ防止策を実施することが企業に義務付けられたと聞きました。マタハラという言葉は最近よく聞くので、何となくは分かるのですが、法律では具体的にどういうことをしたらマタハラになるというのが決まっているのでしょうか?

防止すべきマタハラ(マタニティ・ハラスメント)行為は指針で定められています。厚生労働省のパンフレットでは、具体例もいくつか紹介されているので参考にできるでしょう。

改正育児介護休業法等が1月より施行され、マタハラ防止措置を講じることが事業主に義務付けられます。事業主がポスターや社内研修で社内に周知させたり、相談窓口を設置したりして、上司や同僚によるマタハラ行為も防止しなければならないのです。

○何をしたらマタハラになる?

ここで気になるのが、どのような言動がマタハラになるのかという点です。指針では、防止すべきマタハラ行為には「①制度等の利用への嫌がらせ型」と「②状態への嫌がらせ型」があるとしています。

①は出産や育児・介護に関する制度を利用した場合だけではなく、利用したいと相談したことに対しておこなわれる嫌がらせも含まれます。②は妊娠したことや出産したこと、またはそれらにより十分に働けないという状態に対しておこなわれる嫌がらせです。

具体的な例を見たほうがイメージしやすいでしょう。下の表は厚生労働省のパンフレットで紹介されている典型例です。言っている本人にはハラスメントをしている自覚がなく、正義感から「周囲に迷惑をかけるべきではない」と妊産婦を責めてしまう場合もあります。企業は、職場からこうした言動を無くしていくための取り組みをおこなっていかなければなりません。

~マタハラ典型例~
①制度等の利用への嫌がらせ型
●解雇その他不利益な取り扱いを示唆するもの
・産前産後の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた。
・時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。
●制度の利用を阻害するもの
・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。
・介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき。」と言われた。「でも自分は請求したい」再度伝えたが、再度同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況に追い込まれた。
●繰り返し嫌がらせをするもの
・上司、同僚が「所定外労働の制限をしている人にたいした仕事はさせられない」と繰り返しまたは継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている。
・上司、同僚は「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返しまたは継続的に言い、就業する上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている。
②状態への嫌がらせ型
●解雇その他不利益な取り扱いを示唆するもの
・上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。横領などよほど悪質なケースに限られます。
・上司、同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」繰り返しまたは継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている。
・上司、同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返しまたは継続的に言い、就業する上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている。
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