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スッキリわかる雇用保険-3 ~離れて暮らす祖母を介護。介護休業給付は受けられる?~

社員が離れて暮らす祖母の介護のために介護休業を取ることになりました。とりあえず2週間だけ取得し、状況によっては2回目を取得するかもしれないと言います。この場合でも介護休業給付は受けられるのでしょうか?

来年1月からの育児介護休業法改正に伴い、雇用保険の介護休業給付の仕組みが変わります。「離れて暮らす祖母」は、現在給付の対象外ですが、改正後に休業を開始するのであれば受給できる可能性があります。2回目の取得も、改正後であれば受給可能です。

○介護休業給付を受けられる人

介護休業給付を受けるためには、育児介護休業法で定められた介護休業を取得していなければなりません。その上で、介護休業給付は雇用保険の給付であるため、労働者が雇用保険の被保険者であることが前提となります。さらに、次の要件も満たしている必要があります。

  • ・介護休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること。また、休業中に一部働く場合などは次の要件も満たす必要があります。
  • ・支給単位期間中(1ヶ月ごとの期間)に就業した日が10日以下であること。
○介護者が65歳以上でも支給対象に

介護休業給付を受けるためには、要介護状態(2週間以上にわたり常時介護が必要な状態)にある対象家族を介護するための休業であることが必要です。対象家族は次の範囲の家族です。

○対象家族の「同居・扶養」要件を廃止

被扶養者の年間収入が増えた場合など、要件を満たさなくなったときは、被扶養者から外れることになります。その際は、扶養削除の手続きが必要です。

  • ①配偶者(事実婚を含む)
  • ②父母・子・配偶者の父母
  • ③同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫

ただし、来年1月からは、③の祖父母・兄弟姉妹・孫の「同居・扶養」要件がなくなります。そのため、ご質問のように祖母を遠距離介護するケースでも介護休業給付を受給できる可能性があります。

○支給額は40%⇒67%に

介護休業給付が受けられる期間は最大93日です。会社が法定を上回る制度を設けていて、介護休業を1年取得できるとしても、給付が受けられるのは93日分までです。介護休業給付の支給額は今年の8月1日から大幅にアップしています。以前は休業前賃金(6ヶ月平均額)の40%でしたが、67%に引き上げられました。なお、介護休業中に会社から一部賃金を支払っている場合は、賃金と給付の合計が80%を超えないよう給付額が調整されます。

○3回まで分割取得が可能に

現在、介護休業は1人の家族に対して93日まで。回数は原則1回です。しかし、来年1月からは、93日という上限はそのままで、1人の家族につき3回まで分割して取得できるようになります。介護休業給付もこれにあわせて3回まで分割して受給できるようになります。

つまり改正後、介護休業が取れなくなるのは次の2つの場合ということになります。

  • ①その家族について3回の介護休業をした場合
  • ②その家族について介護休業をした日数が93日に達している場合

現在介護休業中でも、来年1月の時点で上記の①②に該当しなければ、2回目、3回目の休業を通算93日に達するまで取得できます。

これにより、介護の初期と中期と末期に休業を取得できたり、親族間で介護を交替しやすくなります。

ご質問のケースの場合、年内に1回目の介護休業を開始するのであれば給付は受けられませんが、2回目の休業が来年1月以降であれば2回目の分から給付の対象となります。

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