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人事労務の法律教室-24 ~マタハラ防止措置って何をするの?~

育児介護休業法が改正されて、企業にマタハラ防止措置が義務付けられるそうですね。具体的に何をしなければならないのですか?

就業規則に規定したり、パンフレットや研修等によって「マタハラは許されない」という認識を社内に浸透させることです。詳細は指針で定められています。

育児介護休業法および均等法が改正され、平成29年1月より企業に通称「マタハラ防止措置」が義務付けられます。詳細を定めた指針案が公表されましたので内容をご紹介しましょう。
○何がマタハラになるのか?

指針案では、下表のようなものをマタハラ行為として示し、防止すべき対象としています。これまでは事業主に対してのみこうした不利益な取り扱いを禁止していましたが、今回は上司や同僚の行為も防止するよう定められています。 例えば、妊娠中に軽易な業務に変わりたい旨を上司に相談したら。「それなら次の契約更新はないかもしれない」など不利益な取り扱いを示唆するといったことが該当します。  ただし、業務上の必要性がある言動については対象となりません。

防止すべきマタハラ行為
種別 事由 行為者 典型的な行為の例
制度等の利用に関するもの(休業や深夜業の制限など妊娠・出産・育児・介護について法律で定められた制度)
  • 利用の請求等をしたい旨を相談した
  • 利用の請求等をした
  • 利用した
上司
  • 解雇その他の不利益な取り扱いを示唆
  • 請求等をしないように言う※1
  • 請求等を取り下げるように言う※1
  • 繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等をする※2
  • 利用の請求等をしたい旨を相談した
  • 利用の請求等をした
  • 利用した
同僚
  • 繰り返しまたは継続的に請求等をしないように言う※1
  • 繰り返しまたは継続的に請求等を取り下げるように言う※1
  • 繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等をする※2
妊娠・出産・つわり等
  • 妊娠した
  • 出産した
  • つわり等による労働能率の低下等
  • 就業制限により就業できない
上司
  • 解雇その他の不利益な取り扱いを示唆
  • 繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等をする※2
同僚
  • 繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等をする※2
  • ※下線部は現行、事業主に禁止される範囲よりも広がっている部分
  • ※1:客観的に見て、女性労働者の制度等の利用が阻害されるものが該当
  • ※2:客観的に見て、女性労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等、女性労働者が就業する上で看過できない支障が生じるようなものが該当
○防止措置とは何をするのか?

事業主が講じなければならない措置の主な内容は下記のとおりです。 指針にはさらに細かい項目が挙げられていますが、要は「マタハラは許されない」という認識を社内に浸透させ、マタハラが起きた場合は厳正に対処していくということです。

また、マタハラが起きる背景にも注目しています。例えば、産休・育休を取得するために自分達の残業が増えるといった不満から嫌がらせをしてしまうことがあるからです。下の4のように業務の偏りがないよう会社が業務分担を見直したり、周囲に感謝の気持ちを示すよう本人に意識付けすることで、マタハラが起きにくくなるのです。

事業主が講ずべき措置の内容
  • 1. 事業主の方針の明確化・周知・啓発 マタハラを許さないという方針などをパンフレットや研修で周知・啓発
  • 2. 相談・苦情に対応できる体制の整備 相談窓口を設置し、相談があれば対応ができるようにしておくなど
  • 3. マタハラが起きた場合の迅速・適切な対応 行為者や第三者からの聴取、行為者の処分、再発防止など
  • 4. マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置 業務分担の見直し、相談者本人への意識付けなど
  • 5. 1から4と併せて講ずべき措置 相談者や行為者のプライバシー保護など
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