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傷病手当金の計算方法が4月から変わったと聞きました。これで支給額が大きく変わるようなことがあるのでしょうか?休業者にどのような影響があるのか教えて下さい。
通常はそれほど大きな影響はありません。今回の変更は不正受給を防止するためです。
健康保険の被保険者が業務外の病気やケガのために会社を休み、会社から十分な給与が受けられない場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。この傷病手当金の支給額の計算方法が4月から変わりました。これまでは、1日あたり、 休んだ日現在の標準報酬月額 ÷ 30日 × 2/3 が支給されていました。標準報酬月額は毎月の給与を基礎として決まるので、大体給与の3分の2程度の額をもらえるということです。これが、4月1日以降は、 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3 となります。
標準報酬月額は、残業代などの増減では変動せず、固定的な賃金に大きな変動があった場合しか改定されないため、「休んだ日現在の標準報酬月額」でも「12ヶ月平均」でも大差はないはずです。
もし、標準報酬月額の改定があったとしても12ヶ月平均ですから、それほど支給額に影響があるわけではないでしょう。
≪平成28年3月31日までの支給金額≫ | |
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1日あたりの金額 | 【休んだ日現在の標準報酬月額】 ÷ 30日 × 2/3 |
≪平成28年3月31日までの支給金額≫ | |
1日あたりの金額 | 【支給開始日※以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷ 30日 × 2/3 ※支給開始日とは、一番最初に給付が支給された日のことです。 |
支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合 | ||
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・支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額 | を比べて少ない方の額を 使用して計算します。 |
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・28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額) | ||
※転職していても、失業期間が原則1ヶ月以内であれば、転職前後の標準報酬月額を通算して計算します。 ただし、前職が健保組合で現職が協会けんぽなど、保険者が異なる場合は通算しません。 |
ただし、入社して1年未満の人などは注意が必要です。
支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、上図のように2つのうち「少ない方」の額を使用して計算することになっています。
例えば、標準報酬月額50万円で入社した人でも、入社して数ヶ月で休業し、傷病手当金を受けることになった場合は、50万円ではなく28万円として支給額を計算することになります。 今回、計算方法が変わったのは、不正受給を防ぐためです。
休業直前に労使で合意して賃金を引き上げたり、病気等で働けないと分かっている人を高額の給与で雇い入れて傷病手当金を受給するといった脱法行為が一部でおこなわれていたようです。
産休期間に支給される出産手当金についても、4月以降は同様の計算方法が適用されることになりました。
これに伴い、もう1点変更があります。これまで病気療養中に産休に入る場合などは、出産手当金が支給され傷病手当金が支給されないことになっていました。しかし、それぞれの「支給開始日」を基準に支給額を算定すると傷病手当金と出産手当金の額が異なることもあり得ます。
そのため、4月以降は、出産手当金の額の方が少ない場合は、傷病手当金との差額が支給されることになりました。