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顧客として来店した芸能人の個人情報を店員がツイッターで漏らしたという事件が最近目立ちます。当社でも、そのような事件が起きたらと思うと心配です。どのような対策が考えられますか?
研修を実施するなど予防に力を入れることが大切です。問題のある投稿の具体例などを盛り込み、アルバイトや派遣社員にもしっかり浸透させましょう。
ツイッターなどソーシャルメディアの利用の広まりとともに、従業員の不適切な投稿により会社が損害を被るケースが増えています。 数年前には、アルバイト店員が飲食店で不衛生な悪ふざけをしている写真をツイッターに投稿して騒ぎになり、店が閉店に追い込まれる事件がありました。最近では、客として来店した芸能人の個人情報を投稿して騒ぎになる事件が相次いでいます。
ツイッターは匿名で投稿できますが、過去の投稿などから勤務先が特定されてしまい、会社が謝罪や対応に追われる事態に発展するのです。
職場で面白いことがあると誰かに話したくなる気持ちは分かります。一昔前であれば、友人や家族に話したとしても特に問題になることはなかったでしょう。
ツイッター投稿は、本人にとっては「ちょっと聞いてよ」と友人に話す感覚なのですが、実際には、不特定多数の人が閲覧していて瞬時に情報が拡散され騒ぎになってしまうのです。
本人がツイッターを利用していない場合でも気は抜けません。先ほどの不祥事のケースでは、芸能人の免許証をコピーした本人ではなく、その娘がツイッターに投稿して大きな騒ぎになりました。
会社としてはどのような対策を講じるべきでしょうか?
就業規則に情報漏えいに関する規定を設け懲戒処分の対象としておくことはもちろん必要ですし、現に多くの企業でそうした対策は取っているでしょう。
入社時の誓約書にも情報漏えいに関する規定やソーシャルメディアの利用に際する注意書きを入れておくべきでしょう。誓約内容に違反して会社が損害を被った場合は損害賠償請求する旨も盛り込んでおきます。
実際の損害との因果関係がはっきりしない場合は損害賠償の請求が認められない可能性もありますが、誓約書は損害賠償請求のためというより、従業員の意識強化を図るものとして有効です。正社員・アルバイトにかかわらず誓約書を取っておくべきでしょう。
就業規則や誓約書に情報漏えいについて規定していたとしても、具体的に何をすればどうなるのかということが従業員にしっかり伝わっていなければ意味がありません。 一度ネット上に広まった情報を完全に削除するのは不可能ということを考えれば、予防に力を入れることが何より大切です。 定期的に研修を実施し、顧客の個人情報や会社の機密情報は外へ漏らしてはならないこと、例え家族や友人であっても不用意に話してはいけないことを周知しておくべきでしょう。
正社員に対してはこうした研修をしっかり実施しているのに、派遣社員やアルバイトなどに対しては手薄になっている企業もあります。しかし、会社への帰属意識の低い非正規社員にこそ、従業員の立場でうっかり情報を漏らしてはいけないことを浸透させなければなりません。
また、情報を漏らすと本人にとってどのような不利益があるのかを説明をする必要があります。懲戒処分や損害賠償といっても若いアルバイトなどはピンとこないかもしれません。
ツイッターで騒ぎになった結果、投稿者の実名や顔写真がインターネット上に拡散され、その後の実生活に大きな影響を及ぼしているケースもあることなどを紹介し、具体的な発言例や想定事例を盛り込んだ、分かりやすい研修を実施するのが効果的でしょう。