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当社はソフトウェアの開発を行う会社です。先日、労働基準監督署の立ち入り調査が入って衛生委員会が設置されていないことを指摘されました。衛生委員会とは何ですか?具体的に何をすればよいのでしょうか?
衛生委員会は労働者の健康につながるテーマを話し合う委員会です。50人以上の事業場に設置義務があり、法律でメンバーや開催頻度などが決まっています。
労働安全衛生法の定めにより、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、職場の衛星に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるため「衛生委員会」を設置しなければなりません。これは業種を問わず義務付けられているので、IT関連や事務職など特に危険な作業がない業種でも設置する必要があります。
建設業や運送業、小売業など一定の業種については、人数によって「安全委員会」も設置しなければなりません。両方を設置しなければならない事業場では2つをまとめて「安全衛生委員会」として設置することもできます。
衛生委員会のメンバーは次のように要件が定められています。
Aは本社であれば人事部長、支店なら支店長などになるでしょう。Bの衛生管理者は社員に資格を取ってもらう必要があります。Dは人事・総務の経験者などが考えられます。衛生委員会の最小構成人数は7人で、議長以外のメンバー半数については労働組合(労働組合が無い場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦により会社が氏名しなければなりません。
衛生委員会は毎月1回以上開催しなければなりません。
話し合う内容は、労働者の健康障害防止や健康促進のための対策に関するものなどがあります。
議事録は3年間保存しなければなりません。開催の都度、議事の概要を掲示するなどして全労働者に周知することも必要です。
メンバーが一覧表などで明確になっているか、毎月開催されているか、議事録があるかなど、労働基準監督署の立ち入り調査でチェックされる可能性があります。近年、衛生委員会について是正指導を受ける例が増えています。
衛生委員会の設置義務に違反した場合は50万円以下の罰金が科せられることがあります。しかし、罰則があるから取り組むのではなく、労働者の健康を守ることは企業の責務だと考えて取り組むことが大切です。特に近年はメンタルヘルスの問題を抱える企業が増えています。ソフトウェア開発などホワイトカラーで危険な業務の無い職場でも、過重労働防止などへの取り組みは避けて通れないと考えておくべきでしょう。
常時50人以上かどうかは、企業全体ではなく事業場ごとの人数で判断します。パートタイマーの人数も含まれます。有期雇用契約でも繰り返し更新される人はカウントしますが、繁忙期だけ臨時的に雇うアルバイトなどは含まれません。
昨年12月より50人以上の事業場に義務化されたストレスチェック制度でも、衛生委員会が社内での実施体制作りに関わることになっています。50人以上の事業場で衛生委員会が無いという事業場は早めに準備が必要です。