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営業課長のお父さんが急に倒れました。他に家族がいないため、営業課長がしばらく有給休暇を取得して病院に付き添っていましたが、長引きそうなので退職を考えていると言います。会社としては、お父さんの容体が落ち着くまで介護休業を取って様子をみるよう勧めたいと考えています。介護休業中は給付がもらえると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
休業前の賃金の40%が最長3ヶ月分支給されます。介護はいつまで続くか読めないものです。3ヶ月間介護するのではなく、3ヶ月は今後の介護態勢を整える期間と考えてもらいましょう。
介護休業給付は雇用保険から支給されるもので、次の要件を満たす人が対象となっています。
1年以上その会社に通常勤務している人なら要件を満たすでしょう。転職してきたばかりで1年未満でも、失業期間が1年以内であれば前職の期間が通算されます。ただし、失業給付を受給した場合は、前職の期間は通算されません。
また、有期契約労働者の場合は、次の要件も満たさなければなりません。
支給対象となる介護休業は、次の2つの要件を満たす必要があります。
介護休業給付は休業前賃金の40%相当額が最長3ヶ月分支給されます。 例えば、休業前賃金が約40万円の人が満額もらった場合、16万円×3ヶ月分で約48万円もらえることになります。一部労働した場合や介護休業が有給であった場合などは、賃金と給付の合計が休業前賃金の80%を超えないように減額調整されます。 給付は最長3ヶ月の介護休業終了後、原則2ヶ月が経過する月の末日までにまとめて申請します。
親の介護に直面する世代は40〜50代など要職にある人も多く、長期間完全に休むのが難しい場合もあります。 こうした時に1日でも出社すれば介護休業給付がもらえなくなるというわけではありません。一時的に働いたとしても、1つの支給単位期間(休業開始日から1ヶ月ごとに区切った期間)中に働いた日が10日以下であれば大丈夫です。
注意したいのは、介護休業給付は原則1回しか支給されないという点です。
介護休業法では、介護休業は原則として対象家族の1人の介護につき1回、最大93日与えればいいとしています。近年では法律を上回って1年以上休業できる制度や何度も休業できる制度を設けている会社もありますが、その場合でも介護休業給付は原則家族1人の介護につき1回の支給となっています。
例えば、2ヶ月介護休業を取った営業課長がいったん職場復帰し、しばらくして残りの1ヶ月分の介護休業を取りたいと言った場合、会社がそれを認めたとしても介護休業給付はもらえない可能性があるのです。
ただし、要介護状態が変わった場合、例えば、違う病気を発症したり、同じ病気でも歩ける人が歩けなくなった場合などに2回目の介護休業を取得したときは、通算93日になるまで再び受給できます。要介護状態が変わったと認められるかどうかは、ハローワークに判断を仰ぐことになるでしょう。
調査によると、介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人はわずか3.2%だといいます。政府は現在、休業期間の延長と分割取得ができるようにすることなど制度の見直しを検討しています。
制度があまり知られていないことも利用が進まない一因と考えられます。介護に直面した社員は誰にも相談せず退職を決めてしまうこともあります。利用できる制度があることを周知していくことも必要でしょう。