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人事労務の法律教室(12)4月より改正パートタイム労働法が施行されます。何か対応すべき?

パートタイム労働法が4月より改正されると聞きました。当社ではパートタイマーをたくさん雇用していますが、さしあたって何か対応しなければならないことはありますか?

雇入れ時に雇用管理の改善措置について説明義務があります。また、労働条件通知書などに「相談窓口」を明記しておく必要があります。その他、有期雇用であっても「職務内容」と「人材活用の仕組み」が正社員と同じであれば賃金を含め一切の差別的取り扱いができなくなります。

パートタイム労働法の改正ポイントは次の通りです。
  • 1.差別禁止の対象拡大
  • 2.「短時間労働者の待遇の原則」を新設
  • 3.雇入れ時の説明義務
  • 4.相談窓口を設置し、文書で明示
  • 5.過料など実効性の確保
○有期雇用でも正社員との差別禁止

これまで次の@〜Bすべての要件を満たすパートタイマーについては、賞与・退職金を含めた賃金や福利厚生など一切の差別的取り扱いが禁止されていました。

差別禁止要件《現行》
  • @口座振込を希望する賃金の範囲
  • A指定する金融機関、預金種類、口座番号等
  • B開始希望月
差別禁止要件《改正後》
  • 上記Bを廃止。@Aが同一であれば、正社員と差別的取り扱いが禁止される。

改正後はBの用件が廃止され、@Aを満たしていれば、一切の待遇について正社員との差別的取り扱いが禁止されることになります。

正社員もパートタイマーも職務内容や職責が同じという場合で、運用上は正社員もパートタイマーも転勤や配置転換がないような場合は、有期雇用のパートタイマーであっても今後は正社員と待遇を公平にしなければならないということです。待遇の見直し、あるいは仕事を明確に区別するなどの対応が必要です。

また、正社員と異なる待遇にするときは、職務内容や人材活用の仕組みなどを考慮して不合理なものであってはならないという「短時間労働者の待遇の原則」が、すべてのパートタイマーを対象に設けられました。

○雇入れ時の説明義務

パートタイマーを雇入れる際に、実施する雇用管理の改善措置の内容について説明しなければなりません。例えば、次のような事項が考えられます。また、パートタイマーから説明を求められたときの説明義務もあります。
説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをすることは禁止されています。

○全額払いの原則

賃金は、その全額を支払わなければなりません。しかし、例外として賃金から控除が認められているものがあります。

【雇入れ時の説明内容例】
  • ・賃金制度はどうなっているのか?
  • ・どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるのか?
  • ・どのような正社員転換推進措置があるのか? など
【説明を求められた時の説明内容例】
  • ・どの要素をどう勘案して賃金を決定したか
  • ・正社員への転換推進措置の決定にあたり何を考慮したか など

賃金の口座振込をおこなう際に発生する「振込手数料」については、本来、賃金支払いにおける経費として事業主が負担すべきものです。労働者本人からの依頼であったとしても、賃金から控除することは違法になります。

○相談窓口を設置し、文書で明示

事業主はパートタイマーからの相談に応じ、適切に対応をするために必要な体制を整備しなければなりません。また、パートタイマーを雇入れたときに文書の交付により明示しなければならない事項に「雇用管理の改善等に関する事項にかかる相談窓口」が追加されます。

これにより、パートタイマーの雇入れ時には、労働基準法で定められている明示事項に加え、パートタイム労働法で義務付けられている「昇給・賞与・退職手当の有無」、そして「相談窓口」を明示することになります。実際には相談窓口は総務担当者などが担当することになるでしょう。パートタイマー用の雇用契約書や労働条件通知書などのフォームを変更しておく必要があります。

【文書等による明示事項】
  • ■労働基準法による義務
    • 契約期間、仕事の場所、内容等
  • ■パートタイム労働法による義務
    • 昇給、賞与、退職手当の有無
    • +相談窓口(相談担当者名、相談担当の役職、相談担当部署等)
○過料や企業名公表

パートタイム労働法に違反した事業主が、行政の指導に対して虚偽の報告等をおこなった場合は、20万円以下の過料が課せられます。また、厚生労働大臣の勧告に従わなかったときは、その旨を公表できる制度も設けられました。

  
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