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人事労務の法律教室(3)「社員のツイッター投稿が心配!」

ツイッターやフェイスブックなどを利用する社員が増えています。仕事中の出来事を書き込むこともあるようなので、情報漏洩が心配です。何か良い対策はありますか?

会社の信用をおとしめたり情報漏洩につながる書き込みは禁止して処分の対象とすることができます。本人に悪いことをしているという自覚が無い場合が多いので、研修を実施したり具体的な例を載せたガイドラインを作成して不適切な書き込みを行わないよう教育していくことが大切です。

○閉店・倒産に追い込まれる例も

ツイッターやフェイスブック、ミクシィなどのソーシャルメディアの利用が急速に広まっています。若年層ほど利用者が多く、20代の利用率は70%近くにのぼると言います。
 こうした中、従業員の不適切な書き込みにより会社が損害を被るケースも増えています。仕事の打合せ内容を書き込めば情報漏洩に、仕事上の愚痴や上司・顧客の悪口を書き込めば会社のイメージダウンにつながります。
本人が制服を着用した写真を投稿したり、プロフィール欄に勤務先を記載している場合はもちろん、勤務先を明かしていない場合でも過去の投稿や交友関係などから勤務先が特定されてしまい、会社が謝罪や対応に負われる事態に発展するのです。飲食店などで不衛生な悪ふざけをした店員の投稿により、お店が閉店に追い込まれるケースも出ています。

○ソーシャルメディア関連の不祥事
  • 看護学生が患者の臓器を撮影してツイッターに投稿
  • ホテルのレストランに勤務するアルバイト店員がスポーツ選手が
  • 女性タレントと来店したことをツイッターに投稿
  • ハンバーガー店の店員が床に積み上げたバンズの上に寝そべる写真をツイッターに投稿
○書き込みを禁止できるか?

就業時間中に書き込みを行った場合は職務専念義務違反として処分することも可能です。しかし、プライベートな時間に書き込みを行うこと自体は制限できません。

ただ、従業員には守秘義務や誠実義務があります。これは会社と労働契約を結ぶと同時に当然発生する義務です。ですから、会社の名誉や信用をおとしめるような書き込みや情報漏洩につながる内容の書き込みは、プライベートな時間であっても許されないのです。こうした行為は禁止し、就業規則に基づき懲戒処分の対象とすることもできます。ただし、会社の違法行為を告発する書き込みについて懲戒処分を行うことは、懲戒権の濫用として無効となる恐れがあります。

入社時の誓約書などに、ソーシャルメディアの利用に際する注意事項を入れておくという方法もあります。誓約内容に違反して不適切な書き込みを行って会社の対面が汚された場合は、損害賠償を請求する旨も盛り込んでおくと良いでしょう。 実際の損害との因果関係がはっきりしない場合は、損害賠償の請求が認められない可能性もありますが、誓約書は損害賠償のためというより、従業員の意識強化を図るものとして有効と言えます。

軽はずみな投稿は、アルバイトなどに多いため社員・アルバイトにかかわらず誓約書を取っておくべきでしょう。

○本人に自覚が無いことが問題

ソーシャルメディア関連の不祥事は、書き込んだ本人に悪いことをしている自覚が無いという点が特徴的です。本人は仲間内での悪ふざけという感覚で書き込んでいるのですが、実際には不特定多数の人が閲覧していて瞬時に情報が拡散されて騒ぎになるのです。

一度ネット上に広まった情報を削除するのは不可能ということを考えれば、予防に力を入れなければなりません。定期的に研修を実施するなどソーシャルメディアとの向き合い方を浸透させることが大切です。近年はソーシャルメディアポリシーやガイドラインを作成する企業もあります。これは会社としてのソーシャルメディアの利用方針を示すもので、会社の公式アカウントやその運営方針、社員・アルバイト・会社関係者が書き込みをするマナーや心構えを記載します。

膨大なものは読んでもらえません。例えばどんなことをしてはいけないのか、それをした者にはどのような処分が行われるのか、具体的な発言例や想定事例を載せると分かり易いでしょう。

  
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