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国民年金は、第1号・第2号・第3号被保険者と分かれており、そのうち第3号被保険者は、第2号の被扶養配偶者として保険料を納付する必要がない被保険者です。この第3号の被保険者は、配偶者が適用事業所を退職したり、第3号被保険者自身の収入の増加より、被扶養者でなくなった場合には、通常は第1号被保険者となりますが、これまでにその第3号から第1号への切り替えを行わず、本来であれば年金記録は第1号となるべきところが、第3号のままになっているケースが発生しています。このような記録については、「不整合記録」と呼び、不整合記録の取り扱いをどのようにするかが検討されてきました。今回、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律が成立、公布され、その取扱いが決定しました。
これまでは、第3号から第1号への切り替えが2年以上遅れた場合には、2年以上前の国民年金保険料の納付はできず、保険料の未納期間が発生していましたが、今回の改正で、届出手続きをすることにより、この未納期間を受給資格期間に算入できるようになりました。これにより、未納期間が年金を受給するために必要な受給資格期間としてカウントされることになるため、これまでは年金受給資格を満たす期間が不足していた人であっても、届出手続きをすることにより、年金の受給ができる可能性があります。尚、未納期間が受給資格期間に変更されたとしても、保険料は納付できないため、年金額は変更されません。
また、平成27年4月からは未納期間についても最大過去10年分を納付できるようになります。この期間については届出を行うことで、未納期間を「特定期間」として、年金額には反映されないものの、受給資格期間として算入される期間にすることができることになりました。
さらに、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの3年間に限っては、この特定期間のうち、保険料を納付する時点で60歳以上の場合には、50歳以上60歳未満の期間に係る保険料を、保険料を納付する時点で60歳未満の場合には、保険料を納付する時点から過去10年以内の期間に係る保険料を納付することができるようになります。尚、納付された保険料は、老齢基礎年金の年金額に反映されることになり、老齢基礎年金の受給者については、納付が行われた日の属する月の翌月から年金額が改定されることになっています。1ヶ月分を納付することで平成25年度は年額約1,638円が増額されます。受給資格を得ることができるけれども、年金額が少ないというケースもあると想像しますので、対象者はこのような制度の利用を検討されると良いでしょう。