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今回は近年増加している複数の事業所で勤務する人(ダブルワーカー)の雇用保険の取扱いについて書きたいと思います。
雇用保険の加入要件は、「31日以上の雇用見込みがあること」および「1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること」となっており、複数の事業所で勤務している労働者の場合は、その複数の事業所でそれぞれ要件に該当する可能性があります。雇用保険については、複数の事業所での要件に該当した場合であっても、1つの事業所での適用することとなっており、いずれの事業所で適用するかの判断は以下によって行われます。
同時に2以上の雇用関係にある労働者については、当該2以上の雇用関係のうち一の雇用関係(原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係とする)についてのみ被保険者となります。
適用事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま他の事業主に雇用されること(いわゆる在籍出向)となったことにより、又は事業主との雇用関係を存続したまま労働組合の役職員となったこと(いわゆる在籍専従)により同時に2以上の雇用関係を有することとなった者については、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係すなわち主たる雇用関係についてのみ、その被保険者資格を認めることとなります。
ただし、その者につき、主たる雇用関係がいずれにあるかの判断が困難であると認められる場合、又はこの取扱いによっては雇用保険の取扱い上、引き続き同一の事業主の適用事業に雇用されている場合に比し著しく差異が生ずると認められる場合には、その者の選択するいずれか一の雇用関係について、被保険者資格を認めることとしても差し支えありません。
被保険者が前事業所を無断欠勤したまま他の事業主の下に再就職したため、同時に2以上の事業主の適用事業に雇用されることとなった場合は、いずれの雇用関係について被保険者資格を認めるかを上記に準じて判断し、新たな事業主との雇用関係が主たるものであると認められるときには、後の事業主の下に雇用されるに至った日の前日を前の事業主との雇用関係に係る離職日として取り扱います。
また、2.の「この取扱いによっては雇用保険の取扱い上、引き続き同一の事業主の適用事業に雇用されている場合に比し著しく差異が生ずると認められる場合」とは、65歳以上の被保険者が在籍出向を行い、主たる事業所が出向先であると判断されることで、被保険者資格が存続できないような場合を想定しています。このような場合には、出向元事業主との雇用関係が存続しているため、出向元事業主との雇用関係に基づく被保険者として取扱うことが認められます。
雇用保険は要件に該当することで被保険者になりますが、近年はダブルワーカーも増加しているため、雇入れ時にしっかりと確認を行い適切に処理を進めましょう。