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多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者について

日本マクドナルド事件(東京地判H20.1.23)を受けて、厚生労働省から「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者について」通達(基発第0909001号H20.9.9)がありました。

内容は以下の通りです。

小売業、飲食業等において、いわゆるチェーン店の形態により相当数の店舗を展開して事業活動を行う企業における比較的小規模の店舗においては、店長等の少数の正社員と多数のアルバイト・パート等により運営されている実態がみられるが、この店舗の店長等については、十分な権限や相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず、労働基準法弟41条第2号に規定する「管理監督者」として取り扱われるなど実際は不適切な事案も多くみられています。

要は会社が「管理監督者は労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外」の条文をいいことに、正社員を名ばかりの管理監督者に仕立て上げ、たいした権限もなくアルバイト・パートと同じような扱いのもと働き、時間外労働の割増賃金を支払わなかったり、管理監督者だという理由で長時間働かせたりと色々問題が生じてきたという事です。

このため、このような店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素について、次の通り示されています。

【管理監督者性を否定する重要な要素】

つまり、以下に当てはまる人は管理監督者ではないということです!

「職務内容、責任と権限」についての判断要素

1.採用
店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場合も含む。)に関する責任と権限が実質的にない場合。
2.解雇
店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合。
3.人事考課
人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価することをいう。)の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合。
4.労働時間の管理
店舗における勤務割表の作成又は所定労働時間の命令を行う責任と権限が実質的にない場合。

「勤務対応」についての判断要素

1.遅刻、早退等に関する取扱い
遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課でのマイナス評価など不利益な取扱いがされる場合。ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。
2.労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならない等により、長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合。
3.部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合。

「賃金等の待遇」についての判断要素

1.基本給、役職手当等の優遇措置
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分ではなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められる場合。
2.支払われた賃金の総額
1年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合。
3.時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合。特に当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金に満たない場合は、管理監督者を否定する極めて重要な要素となる。

※上記の内容に当てはまらなかったといって、直ちに管理監督者として認められるわけではありません。あくまでも実情で判断されます。

【長時間労働は健康障害を引き起こす恐れがあります!】

管理監督者についても、長時間にわたる過重な労働にならないようにして下さい。長時間労働となった場合には、労働安全衛生法に基づき医師による面接指導等の健康管理に係る措置が必要となる場合があります。

【管理監督者であっても深夜割増賃金、年次有給休暇はあります!】

管理監督者であっても、深夜業(22時から翌日5時まで)の割増賃金は支払う必要があります。また、年次有給休暇も一般労働者と同様に与える必要があります。

こういった問題は必ず労働者の不満から出てきます。出てくる前に対応しておかないと新聞等で取り上げられている通り、後々大変なことになります。経営者はぜひ上記の内容をよく読んで適切な対応をお願いします!

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